カテゴリー: 税務関連

給与か?外注費か?~東京国税局の判定検討表

給与所得及び事業所得の判定検討表(東京国税局 平成15年7月)

一部抜粋・加工整理

実務上の判定

  • 当該契約の内容が他人の代替を容れるか → 給与:NO/事業:YES
  • 仕事の遂行に当たり個々の作業について指揮監督を受けるか → 給与:YES/事業:NO
  • まだ引渡しを終わっていない完成品が不可抗力のため滅失した場合等において、その者が権利として報酬の請求をなすことができるか → 給与:YES/事業:NO
  • 材料が提供されているか → 給与:YES/事業:NO
  • 作業用具が供与されているか → 給与:YES/事業:NO

判例による判定

  • 雇用契約又はこれに準ずる契約等に基づいているか → 給与:YES/事業:NO
  • 使用者の指揮命令に服して提供した役務か → 給与:YES/事業:NO
  • 使用者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受けているか → 給与:YES/事業:NO
  • 継続的ないし断続的に労務の又は役務の提供があるか → 給与:YES/事業:NO
  • 自己の計算と危険において、独立して営まれているか → 給与:NO/事業:YES
  • 営利性、有償性を有しているか → 給与:NO/事業:YES
  • 反復継続して遂行する意思があるか → 給与:NO/事業:YES
  • 社会的地位が客観的に認められる業務か → 給与:NO/事業:YES

※「その他」欄は事案に応じて次ページの項目を参考にして記入する。
〇の多少で判定せず、総合的に判定する。

その他の判定事項の例

  • 労働基準法の適用を受けるか → 給与:YES/その他:NO
  • 支払者が作成している組織図・配席図に記載があるか → 給与:YES/その他:NO
  • 役職(部長、課長等)があるか → 給与:YES/その他:NO
  • 服務規程に従うこととされているか → 給与:YES/その他:NO
  • 有給休暇制度はあるか → 給与:YES/その他:NO
  • 他の従業員と同様の福利厚生を受けることができるか(社宅の貸与、結婚祝金、レクリェーション、健康診断等) → 給与:YES/その他:NO
  • 通勤手当の支給を受けているか → 給与:YES/その他:NO
  • 他の従業員と同様の手当を受けることが可能か(住居手当、家族手当等) → 給与:YES/その他:NO
  • 時間外(残業)手当、賞与の制度はあるか → 給与:YES/その他:NO
  • 退職金の支給の対象とされているか → 給与:YES/その他:NO
  • 労働組合に加入できる者であるか → 給与:YES/その他:NO
  • 支払者からユニフォーム、制服等が支給(貸与)されているか → 給与:YES/その他:NO
  • 名刺、名札、名簿等において支払者に帰属しているようになっているか → 給与:YES/その他:NO
  • 支払を受ける者の提供する労務が許認可を要する業務の場合、本人は資格を有しているか(例 運送業) → 給与:NO/その他:YES
  • その業務に係る材料等の在庫を自己で保管しているか → 給与:NO/その他:YES
  • 報酬について値引き、値上げ等の判断を行うことができるか → 給与:NO/その他:YES
  • その対価の支払者以外の顧客を有しているか → 給与:NO/その他:YES
  • 以前にも他の支払者のもとで同様な業務を行っていたか → 給与:NO/その他:YES
  • 店舗を有し一般客の求めに応じているものであるか → 給与:NO/その他:YES
  • その対価の支払者以外の者からの受注を受けることが禁止されているか → 給与:YES/その他:NO
  • 同業者団体の加入者であるか → 給与:NO/その他:YES
  • 使用人を有している者であるか → 給与:NO/その他:YES
  • 支払を受ける者がその業務について自己の負担で損害保険等に加入しているか → 給与:NO/その他:YES
  • 業務に当たって、支払者側のマニュアルに従うこととされているか → 給与:YES/その他:NO
  • 支払者の作ったスケジュールに従うこととされているか → 給与:YES/その他:NO
  • 業務の遂行の手順、方法などの判断は本人が行うか → 給与:NO/その他:YES
  • 本来の請負業務のほか、支払者の依頼・命令により、他の業務を行うことがあるか → 給与:YES/その他:NO
  • 勤務時間の指定はあるか → 給与:YES/その他:NO
  • 勤務場所の指定はあるか → 給与:YES/その他:NO
  • 旅費、交通費を会社が負担しているか → 給与:YES/その他:NO
  • 報酬の最低保障があるか → 給与:YES/その他:NO
  • 遅刻、無断欠勤の場合、それに見合う報酬が支払われないほか罰金(報酬の減額)があるか → 給与:NO/その他:YES
  • その対価に係る請求書等の作成がされているか → 給与:NO/その他:YES
  • その対価が材料代等の実費とそれ以外に区分して請求されるか → 給与:YES/その他:NO
  • その対価が経費分も含めて一括で請求されているか → 給与:NO/その他:YES

オンラインオリパによるトレカの売買は雑所得になるか?

トレーディングカードの税務については、悩ましい問題と理解しており、個人的には以下のように整理しています。

まず、営利を目的とする継続的行為(雑所得)でない場合は、譲渡所得(総合課税)に該当します。

そこで、オンライン・オリパ(オリジナルパック)によるトレカの売買については、トレカ購入・売却の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判定することになりますが、具体的な基準もなく悩ましいところです。

個人的には、トレカと馬券は偶然性やギャンブル性が重なるところも多少はあるように思いますので、馬券の払戻金を目的とする継続的取引(雑所得)についての国税庁の考え方が、参考になると考えています。以下、馬券をトレカに当てはめて検討してみます。

プレミアムカードとしての市場価値が確立しているトレカを中心に、年間を通じて継続的に売買し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、当該売買行為の期間総体として回収率が100%を超えるようにトレカを売買し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当することになります。なかなかハードルが高い感があります。

雑所得に該当すれば、売価30万円以下・超を問わず、ハズレカードを含むすべてのトレカにつき売上と仕入を認識し、所得を計算します。

上記に該当しないいわゆる一般のトレカ愛好家の方につきましては、原則どおり譲渡所得(総合課税)に該当し、売却額が30万円超のカードのみが課税対象となることから、ハズレカードの購入費用は必要経費として控除できないと、私は一応の整理をしています。

今後、トレカ業界の人気が続き、トレカ愛好家(コレクター・トレーダー・投資家)が増えてきて、多額の売買事例が積み上がってくるでしょうから、国税庁も見解を示すかも知れません。それより先に、競馬の馬券と同じように裁判を通じて司法の判断が先に示されるかも知れません。

トレカ(トレーディングカード)の売却益は課税対象か?

トレーディングカードの税務については、悩ましい問題と理解しており、個人的には以下のように整理しています。

税務の扱いは以下の3つが考えられます。

1. 所得税法施行令25条が限定列挙の場合→トレカは生活に通常必要な資産としてすべて非課税
2. 所得税法施行令25条が例示の場合→トレカは生活に通常必要な資産だが1枚30万円超のものだけ課税
3. トレカはそもそも生活に通常必要でない資産としてすべて課税

そのうえで、実務上、何かしら判断をして税務上の対処をしないといけませんので、私は上記2.の対応をしております。

この場合は該当するカードの取得費算出が必要となります。ハズレカードの取得費は含めることはできませんし、売却していないカードの取得費も含めることはできません。売却額(※)が30万円超のカードのみの取得費を集計することになります。しかし、1枚だけの購入時はその取得費が明らかですが、複数枚同時取得したときなどのように、その算出が悩ましい場面が多いと考えます。

複数枚同時に取得したときは、その支出額を均等割とするか時価割とするか等々、何らかの合理的な方法で按分します。取得費が不明・算出困難の場合は5%とすることができます。

ただし、営利を目的として継続的に行なわれるトレカの売却は、その規模などの内容によって、雑所得か事業所得になりますが、コレクションを年数回売却した程度では、たとえ数百万円の高額カードの売却であっても譲渡所得に該当するのが原則だと考えます。


※・・・所得税法施行令25条における30万円について、増井良啓教授によると、”  『価額』とは譲渡時の対価の額を基準とすべきであろう。「美術館への美術品譲渡と所得税」税務事例研究60号44頁(2001)”とのことですし、課税実務上も売価30万円で判断することが定着していると考えます。

商品券で従業員に経費精算払などしてしまうと現物給与になる?!

現金ではなく、例えば商品券を使用して、会社が従業員に対して立替金を精算払すると、経済的利益を得たことになってしまい、従業員は収入として課税(この場合は給与所得)されてしまうという解説をたまに見かけます。

所得税基本通達 36-15において、【物品その他の資産の譲渡を無償…で受けた場合】と規定されていることから、このケースのように、従業員から会社に対する立替経費の請求債権の弁済として、商品券を受領しますので、無償で受領するわけではなく、収入すべき金額には該当しません。

もし、現金ではなく商品券で精算払すると、経済的利益を得て収入として課税される理屈が成り立つのであれば、

例えば、

会社から当月締切・翌月払の給与のケースにおいて、一部を商品券で精算払すると、従業員は商品券という経済的利益を得て収入として課税(この場合は給与所得)され、給与課税されたあと重複してさらに給与課税されることになりますが、そんなことにはなりません。(商品券での支給につき労働法の問題はいったん置きます)

また、従業員ではなく、例えば会社から弁護士に対する報酬において、契約で定めたとおり一部を商品券で精算払すると、弁護士は商品券という経済的利益を得て収入として課税(この場合は一時所得)されるうえに、事業所得としても別に課税されることになりますが、そんなことにはなりません。

冷静に考えれば、現金であろうが、電子マネーであろうが、現金同等物であろうが、商品券であろうが、支払側は何らかの弁済すべき対価として渡し、受領側は何らかの請求すべき対価として受け取るわけですので、その支払手段の違いで、税務上の差は生じないことになります。

この質問をきっかけに、個人的に気になったので、備忘録となります。

旧法人税基本通達235(昭和44年廃止)

課税実務上、修繕費と資本的支出の判断につき、今でも参考になるといわれる旧通達です。法令を解釈にあたり、この取り扱いに疑いの余地はないことから廃止されたようです。

旧法人税基本通達235(昭和44年廃止)

次に掲げるようなことのために支出した金額は、令第132条の規定を適用して資本的支出と修繕費の区分計算をしないで、その全額を修繕費と認めるものとする。

ただし、自己の使用に供する等のため他から購入した固定資産について支出した金額又は現に使用していなかった資産について新たに使用するために支出した金額は、修繕費としない。

(1)家屋又は壁の塗替
(2)家屋の床のき損部分の取替
(3)家屋の畳の表替
(4)き損した瓦の取替
(5)き損したガラスの取替又は障子、襖の張替
(6)ベルトの取替
(7)自動車のタイヤの取替

備忘録:平成28年改正【前】学資金貸付の免除時の課税、医学生と看護学生の違い

注意・・・現在は改正されており、平成28年4月以降は医学生も看護学生も同じ扱いです。

  

  

平成28年の税制改正【

看護師は非課税でOK←旧・所基通9-15に準じてOK

医学生は課税←旧・ 所基通9-15に準じることは ダメで、旧・所基通9-14を適用

 

看護学生についての文書回答(平成21年12月16日)国税庁課税部長回答

医学生についての文書回答(平成22年10月18日)大阪国税局審理課長回答

 

個人的には、医学生のほうは、大阪国税局が挙げた理由のうち、

享受することになる経済的利益の額も多額(医科大学在学の6年間で1,200万円)であり、上記通達の強いて課税しないこととしている趣旨、範囲を大きく逸脱することになると考えられます

やはり「多額」というところが大きかったのだと考えています。

 

 

 

振替納税の取りやめ届出書(名古屋国税局バージョン)

口座振替による納付(振替納税)を取りやめるときの届出書が、ネット上には大阪国税局のものしか見つけられなかったため、名古屋国税局管内の税務署で入手したものを備忘録で残しておきます。

https://goo.gl/vgOyqo

 

税理士としては、これまであまり使用するものではありませんでしたが、クレジットカード納付に切り替えるため等、出番は増えるかも知れません。

 

 

 

 

 

 

 

国税局ごとに取扱が異なる昭和46年12月以前の土地の使用貸借の経過措置のまとめ

備忘録

昭和48年11月1日付
使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて

土地を無償で借受けた時期が、上記通達適用前の昭和48年10月31日以前である場合は、上記通達6の経過措置が適用されますので、今後において、その土地やその上の建物について相続や贈与があった場合の取扱に注意が必要です。昭和46年12月31日以前で各国税局によって若干の相違があり、特に昭和39年12月31日以前は各国税局で取扱が異なりますので、注意が必要です。

 

その根拠となる情報としての備忘録です。

昭和48年11月1日付
「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」通達の運用について

 

資産税課情報 第4号 昭和49年3月28日
国税庁直税部資産税課
使用貸借にかかる土地についての相続税及び贈与税の取扱いに関する経過措置の概要

 

なお、各国税局ごとのわかりやすい表は、笹岡宏保先生の「具体的事例における財産評価の実務(清文社)」が参考になりますが、それらの根拠は上記の情報と考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相続税における「通常の地代」を6%である根拠

備忘録

いわゆる「相当の地代通達」
昭和60年6月5日付 課資2-58外
相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて
に定める算式中の「通常の地代の年額」を、底地×6%としますが、なぜ6%なのか?の根拠が下記となります。

 

昭和60年6月5日付
「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」通達の運用について

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相続税法基本通達9-10ただし書の解釈運用

備忘録

なぜ、建物等の所有を目的とする土地の使用貸借による借受けが、贈与と扱われないのか?

相続税法基本通達
(無利子の金銭貸与等)
9-10 夫と妻、親と子、祖父母と孫等特殊の関係がある者相互間で、無利子の金銭の貸与等があった場合には、それが事実上贈与であるのにかかわらず貸与の形式をとったものであるかどうかについて念査を要するのであるが、これらの特殊関係のある者間において、無償又は無利子で土地、家屋、金銭等の貸与があった場合には、法第9条に規定する利益を受けた場合に該当するものとして取り扱うものとする。ただし、その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げないものとする。

 

上記通達における2つの場合について具体的に定めた通達が下記となり、それが答え・根拠となります。

 

昭和48年11月1日付
「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」通達の運用について

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

事業承継などの自社株の節税対策、銀行提案だから安心か?

昨今、事業承継、とくに中小企業における事業承継の問題が取り上げられてきています。スムーズに承継できるよう各種制度も整備されつつありますが、どうしても税務が事業承継のボトルネックとなりがちです。自社株の評価額が高くなっており、その場合は子などの承継者が自社株を承継(贈与・譲渡・相続など)することが困難になります。

そこで、自社株の評価額を下げる対策をあれこれ講じるのですが、昨日のニュース(産経WEST 2016/8/29)は、銀行提案の策が国税に否認され、さらには国税不服審判所でも納税者側の主張は認められず、ついには裁判の場で争うことになっているとのことです。しかも、そういう事例が「増えている」とのことです。

自社株の相続対策に悩む中小企業の経営者が、取引銀行から提案された別会社へ株を売却するなどの「節税策」を実行したところ、税務署に認められずに課税され・・・
税務訴訟を多く手がける都内の弁護士によると、こうして下落させた株価を国税当局が認めず更正処分(追徴課税)を行うケースが昨年ごろから徐々に増えているという。

その内容は「持ち株会社方式」と呼ばれるもので、単純に自社株を持ち株会社化にして直接保有から間接保有に切り替えて、自社株の評価額を下げる策です。

銀行が提案する対策ですので、当たり前ですが、銀行からの借入が絡むスキームとなります。支払利息も発生します。

節税策として提案することは、取引銀行にとっても数々のメリットが生まれる。P社に多額の融資を実行でき利息収入が入るほか、Bさんの手元に残るA社株譲渡代金を生命保険や投資信託などに振り向けさせることで、販売手数料も得られる。

なぜ、このような問題になるか、あくまでも私見ですが、この記事にあるように銀行や税理士の説明不足が原因にあるのは間違いないのですが、ではなぜ説明不足になるのかを考えると、お客様に不要な商品・サービスをセールストークを駆使して、一律に「売り抜けて、利益を獲得する」ことがその根底にあるものと私は考えています。メガバンクや大手生保や大手不動産会社などでは、転勤などによって数年で担当が変わることも、売り抜けしやすい土壌となっている感があります。

今後の裁判所での判断を待つわけですが、すでにそこまで進んでしまった時点で、お客さまを守る見地からは、この策は失敗と言わざるを得ません。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コーポレート・ガバナンスと課税庁による調査

昨日の中里実氏(東大院教授)による研修会で、大企業も中小企業もコーポレート・ガバナンス(企業統治)の問題は、現在進行形で模索中だと改めて考えさせられました。

中里実氏によれば、ハーバード大の教授Mihir A. Desai氏等による論文「Corporate Governance and Taxation」において、「会計監査よりも課税庁による調査の方がコーポレート・ガバナンスに効果的」とのことです。

コーポレート・ガバナンスの観点から有効とされている外部機関の制度として、大企業では社外監査役や公認会計士監査、中小企業では会計参与がありますが、上記の課税庁による税務調査がコーポレート・ガバナンスに果たす役割は、中小企業だけでなく大企業においても相当に重要であると、改めて考えさせられました。

今後の日本でも、課税庁による税務調査の存在意義が見直され、強化されていくのかも知れません。

軽減税率の「軽減」って・・・

いよいよ軽減税率の内容が決まりそうです。

軽減税率は今後のさらなる増税の布石であり、軽減税率の制度が導入された場合、10%以降の増税がしやすくなるだけだという指摘もあり、実際にその通りだと考えます。

個人的には、もうひとつ懸念していることがあります。

そもそも軽減税率の「軽減」とは、次回増税後の10%よりも軽減されているだけであり、現行の8%のままの「据置」でしかありません。その意味で用いられる限り、10%以降のさらなる増税時において、例えば13%に増税した場合、今回の軽減税率を10%に増税しても、13%よりは軽減されているわけですから「軽減税率」は維持されることになります。

いづれ軽減税率そのものも増税されていくことも十分想定されます。そうであれば、一律にシンプルに増税していってほしい…というのが実務家としての感想です。

節税になる?短期前払費用の落とし穴に要注意

巷でよく聞く節税策(正確には「課税の繰延」にとどまるのですが・・・)のうち、短期前払費用があります。節税策としての常套句のひとつです。

この短期前払費用は、無条件に認められるものではなく、その前払費用の質および量の両面から重要性が問われますので、注意が必要となります。会計上も税務上も、重要性の判断基準は異なるとされていますが、いづれにしても重要性は問われます。

法人税基本通達2-2-14の取扱いは、法人が一定の計算基準を継続して行う会計処理で、その計算基準を行うことに相当の理由があり、重要性の原則に照らして課税上さしたる弊害がないと認められる場合にその適用があるものであり、費用収益の対応関係を覆してまでもその適用を認める趣旨のものではなく、また、もっぱら租税回避の目的で不要不急の前払いを行ったようなものについては、適用することは相当でないと解されている(平成11年12月24日裁決)

 

従いまして、「課税の繰延」を目的に短期前払費用を採用する場合は、

  • 相当の理由があるか?
  • 課税上さしたる弊害がないか?

を吟味する必要があります。

 

なお、あくまでも参考にしかなりませんが、会計上における考え方として、

たとえ毎期末の計上額がほぼ一定であっても,その企業の営業の性質上重要な営業費用に属するもの,例えば,海運業者における借船料や船体保険料,百貨店業者等における店舗貸借料,自動車運送業者における車体保険料や賠償責任保険料,金融業における支払利息割引料などについては,原則どおりに厳密な期間対応計算を要し,重要性の原則は適用されないというのが監査上ほぼ一致した見解のようである(昭和43.5.13日本公認会計士協会監査委員会意見「期間損益通達の監査上の取扱いについて」参照)。引用元

とのことですので、「質」における重要性を判定する際の参考になります。

また、参考とした上記の会計上の考え方のさらなる参考にしかなりませんが、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」では、

第85条第2項
(…略…)主要な費目とは(…略…)その金額が販売費及び一般管理費の合計額の百分の十を超える費目をいう。

とされていますので、「量」における一つの判断指標としては参考になるものだと考えます。

 

当然ですが、例えば等質等量・定質定量といった前払費用のそもそもの要件を満たしていない単なる「費用の前払につきましては前払費用ではなく「前払金」であり、その前払金には短期前払金という制度はありません。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

タワマン節税(タワーマンションを利用した節税)策は、やはり拙い方法

国税庁が課税を強化するように全国の国税局に指示したとのことです。

国税庁の松山清人・資産評価企画官は「不動産の値上がりで節税効果が大きくなっており、看過できないケースには適切に適用したい」と話す。(朝日新聞デジタル2015年11月3日)

看過するかしないかを決めるのは当然ですが課税庁となります。

従来から私は「タワマン節税(タワーマンションを利用した節税)策」について、税理士の観点からは拙い節税方法であることを、お客さまに積極的に注意喚起してきました。

これまでも課税庁が否認してきた事例もあり、不服審判や裁判所おいても納税者が負けた事例もあり、税理士等の専門家は把握していましたが、まだまだ一般の納税者には税務上のハイリスクは馴染みが薄く、今回のニュース等により、ようやく課税庁の考え方・姿勢が公になったことで、一般の納税者にも浸透する感があります。

もともと税務上ハイリスク・ハイリターンな方法ではありましたが、このような課税強化の体制下におけるお目こぼし狙いの節税策は、これまで以上にハイリスクになり、ますます「拙い」方法になったと私は考えます。

今後もこのタワマン節税策を推奨する税理士や金融機関、販売する不動産業者、決断する納税者ご本人、それぞれがこの節税策の「拙さ」を再認識する必要があるでしょう。

ちなみに、被相続人(または贈与者)がタワーマンションに名義の形式上ではなく実際に居住することなく、相続(または贈与)後にタワーマンションを売却した場合は、この節税策のキモである評価減を狙える固定資産(宅地)ではなく、時価評価となる棚卸資産(販売用不動産)と判断される可能性が大きいです。たとえ実際に居住したとしても短期間で売却した場合は同じリスクが残ります。資産税で著名な税理士である笹岡宏保先生も同旨の注意喚起をしておりました。

扶養控除等申告書にマイナンバーの記入「しない」もOK

扶養控除等申告書の個人番号記載について、従業員さん本人により記入していただくのが原則となっていますが、例外として記入しないことも認められています。

源泉所得税関係に関するFAQ(国税庁)
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm#a19

Q1-9
扶養控除等申告書の個人番号欄に「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨の記載をすることで、個人番号の記載に代えることはできますか。

この問に対する(答)は、OKです。

個人的には、マイナンバーの管理体制に課題が残る小規模事業者にとっては、適正なマイナンバーの保管に費やす労力を減らすことからも、マイナンバー管理資料と扶養控除等申告書とは切り離す方法で、マイナンバーが記載された書類を残さない or 少しでも減らすことは、一考の価値はあると私は考えます。

mynachan

税務上「妥当」な役員退職金の決め方・考え方

ご存知のとおり、役員退職金の税務は面倒・リスクを伴います。

創業者などの特別功労者に対する退職金支給額を決定するときの理由付けについて、ひとつのサンプルです。議事録にも明記しておきましょう。

会社設立以来、終始一貫して実質的な支配権を有し、常に会社運営の重要な企画に当るほか、自らも販売営業の陣頭指揮に立ち、従業員育成にも注力し、財務金融面に卒先して携わるのみならず、資金繰りが苦しい際は私財の投入や担保提供をし、現在の会社の基盤を醸成し、その貢献度は著しく高いものと認められる。このように特に優れた経営活動による貢献については、特段の考慮をするのが相当であると判断した。

それでも、創業者や連帯保証人といった功労加算を含んだところで、功績倍率は3倍以下に敢えてするのが税務上のセオリーだと私は考えています。税務調査で否認され、裁判で争った場合、裁判官は3倍よりも少なく判断する場合が多く、圧倒的に納税者に不利となります。

従いまして、税務調査で問題視・否認されずに、「税務において決着」を目指すことを実務上は優先すべきだと私は考えます。

 

 

 

 

 

税務調査における質問応答記録書(自白調書?)

税務調査において、自白調書とも言われ、しばしば登場する「質問応答記録書」ですが、改めて注意喚起させていただきます。

納税者に何のメリットも無い「質問応答記録書」への署名押印についてですが、納税者の任意とされていますので、躊躇せずに遠慮なく断ってください。調査官が調書に記載した内容を問わず、一律に断ってください。

断り方ですが、まずは、「サインは強制でしょうか?」と調査官に質問し、サインしない旨を伝えましょう。

H25.6.26国税庁 課税総括課情報 第3号「質問応答記録書作成の手引について(情報)」の問15において、

…(略)…署名押印は回答者の任意で行うべきものであり、これを強要していると受け止められないよう留意する。…(略)…

とされています。

また、問3において、

納税義務者等の回答内容を主要な証拠として重加算税を賦課決定する事案である。

ことを質問応答記録書を作成する場合に挙げていますので、「質問応答記録書」へ署名押印した場合は、重加算税に直結することになります。

署名押印の拒否だけでなく、記載された内容にも同意できない場合は、その旨を明確に調査官に伝えることも忘れないようにする必要があります。奥書で、記載内容に誤りがないことを認めた場合にはその旨を記載することになっていますので。また、重加算税の要件である「故意」による仮装・隠蔽をした供述内容に誘導されたり、そのような筋書きが用意されているケースをしばしば見受けられますので、くれぐれも注意してください。

 

なお、税務調査において、「質問応答記録書」への署名押印を拒否することと、調査官からの質問に対して答弁しないことや、検査に対して拒んだり妨げたり忌避することとは異なります。ちなみに、強制調査における国税査察官による供述調書の録取であっても、供述拒否・署名押印拒否は認められています。

 

「経営者保証に関するガイドライン」の動向

金融庁は「担保・保証依存からの転換」に向けて動いていくことを平成27年9月18日に公表しましたが、「経営者保証に関するガイドライン」のこれまでの動向も整理しておきます。昨年末以降、動きがありませんでしたが、今夏より動き出した感があります。

平成26年2月
「経営者保証に関するガイドライン」適用開始

平成26年6月4日
「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集の公表について

平成26年10月1日
経営者保証に関するガイドラインのQ&Aの一部改定について

平成26年12月25日
「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(平成26年12月改訂版)の公表について

平成27年7月31日
「経営者保証に関するガイドライン」Q&Aの一部改定を公表

平成27年7月31日
「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(平成27年7月改訂版)を公表

平成27年7月31日
「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績を公表

平成27年8月25日
政府系金融機関における「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績を公表

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本人へ交付する源泉徴収票等への 個人番号の記載は「不要」

もう改正です・・・

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平成 27 年 10 月2日に所得税法施行規則等の改正が行われ、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行後の平成 28 年1月以降も、給与などの支払を受ける方に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載はしないこととされました。

改正前は、支払を受ける方に対して交付する源泉徴収票などについて、本人等の個人番号を記載して交付しなければならないこととされていました。

なお、法人番号は、今回の改正に関係なく、記載しません。

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