カテゴリー: 借入・資金繰り

中小企業への融資に影響する? 7月1日に中小企業等経営強化法が施行

先日の7月1日(金曜日)に中小企業等経営強化法が施行されました。

この法律の施行によって、中小企業に及ぼす影響のうち、私が気にしている融資関係にフォーカスしますと、この法律による支援のときだけに限られず、中小企業を評価するときに、これまでの「実態」貸借対照表の把握だけでなく、「実態」損益計算書の把握が重視されるようになると考えます。

実態」損益計算書による査定・調査とは、企業価値評価において、損益計算書の収益力や損益項目を見直し、整理したうえで、損益計算書の実態を明らかにしたうえで、正常収益力を明らかにすることです。

中小企業の場合、簡単に言うと、すべての原価と経費が、売上原価なのか・販管費なのか・営業外費用なのか・期間外費用なのか・特別損失なのか、を整理・査定したうえで、営業利益(≒正常収益力)を明らかにして、企業価値を評価することが重視される流れが進むものと考えます。

 

中小企業への融資が厳しくなる? 日銀 マイナス金利導入を決定

日銀は本日1月29日、金融政策決定会合を開き、追加緩和策として、金融機関が日銀に預けている一部の資金に0.1%の手数料を課す「マイナス金利」を導入することを決めました。5対4の賛成多数だったとのことです。

金融機関の住宅ローン融資については、さらなる低金利・競争激化が進むことは容易に想定できますが、中小企業への融資については、何とも複雑なニュースに感じます。

マイナス金利では銀行の利ザヤが縮小し、業績を悪化させるという副作用もある。そうなると、本来は中小企業向けの融資を拡大させるというのがマイナス金利の目的であるにもかかわらず、実際には融資が落ち込んでしまうことになる。貸し出しに回らず運用もできない金融機関の緩和マネーは、株や不動産市場に流入してしまうことになる。(引用元

期待どおりに銀行が超過預金を取り崩すとしても、銀行が貸し渋りを解消して、企業向け融資にその資金を振り向けるのか、あるいは、そもそも企業サイドの潜在的な資金需要は増大するのかという問題が残る。(引用元)

今後、責任共有制度における割合が見直され、”貸し渋り”が懸念されるところに、上記懸念が追加されることになります。

 

 

 

「年末、更には、それ以降の」中小企業・小規模事業者に対する金融の円滑化について

昨年の平成27年11月30日に金融庁から、中小企業・小規模事業者に対する金融の円滑化について、金融機関関係団体等に対し、要請されましたが、

 

(…略…)金融機関による金融の円滑化への取組みは着実に行われてきておりますが、 当庁としては、年末、更には、それ以降の中小企業・小規模事業者の資金繰りに万全を期す必要があると考えております。(…略…)

ついては、貴協会傘下金融機関に対し、下記を周知徹底方宜しくお願いいた します。

 

年末だけでなく、それ以降の中小企業・小規模事業者の資金繰りへの対応・姿勢も同じとされていますので、周知徹底方の要請された内容を、再度確認しておきたいところです。

 

(1)中小企業・小規模事業者の資金繰りに支障が生じないよう、中小企業・ 小規模事業者から相談があった場合は、その実情に応じてきめ細かく対応 し、適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮に努めること。

(2)財務内容等の過去の実績や担保・保証に必要以上に依存することなく、 事業の内容及びその業界の状況等を踏まえた融資やコンサルティングを行 い、企業や産業の成長を支援すること。

(3)必要に応じ、地域経済活性化支援機構、中小企業再生支援協議会等の外 部機関や外部専門家とも連携しつつ、コンサルティング機能を十分に発揮 し、それぞれの借り手の真の意味での経営改善が図られるよう積極的に支援すること。

(4)「経営者保証に関するガイドライン」が融資慣行として浸透・定着してい くために、中小企業・小規模事業者等の顧客に対し、積極的に本ガイドラ インの周知を行うとともに、本ガイドラインの更なる活用に努めること。

(5)上記(1)から(4)までの取組みについて、営業現場の第一線まで浸透させ、組織全体として、積極的に取り組むこと。

以上

 

補足・・・「経営者保証に関するガイドライン」は融資慣行として、まだ浸透・定着していないということです。

中小企業への融資が厳しくなる?信用保証制度の見直しが進行中

平成19年10月から責任共有制度が導入され、金融機関も20%のリスクを負うようになりましたが、その後も中小企業への融資について、金融機関は信用保証協会に依存してきています。

今回の見直し案では、責任共有制度における金融機関の負担割合が、現行の20%から拡大される(最大で50%か?)ことになっています。金融機関は厳密な査定を求められることから、これまでの与信審査が見直され、中小企業への融資に大きく影響することになります。

責任共有制度導入後に懸念された”貸し渋り”ですが、今回はそのとき以上に懸念されています。特に、運転資金に対する融資姿勢ついては影響が大きく、厳しくなると考えます。

また、国としては、与信審査において、定性分析(事業性評価など)をもっと重視させる方向に仕向けたいのでしょうが、定量分析(決算数値など)がこれまで以上に重視されていくと個人的には考えています。

 

参照記事

 

 

 

「経営者保証に関するガイドライン」の動向

金融庁は「担保・保証依存からの転換」に向けて動いていくことを平成27年9月18日に公表しましたが、「経営者保証に関するガイドライン」のこれまでの動向も整理しておきます。昨年末以降、動きがありませんでしたが、今夏より動き出した感があります。

平成26年2月
「経営者保証に関するガイドライン」適用開始

平成26年6月4日
「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集の公表について

平成26年10月1日
経営者保証に関するガイドラインのQ&Aの一部改定について

平成26年12月25日
「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(平成26年12月改訂版)の公表について

平成27年7月31日
「経営者保証に関するガイドライン」Q&Aの一部改定を公表

平成27年7月31日
「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(平成27年7月改訂版)を公表

平成27年7月31日
「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績を公表

平成27年8月25日
政府系金融機関における「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績を公表

 

 

 

 

 

 

 

 

 

政府系金融機関における「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績を公表します

最新の公表資料 2015.08.13

ちょっと気になる【日本銀行】ニュース…

東海3県の金融経済動向が公表されました。

東海3県の景気は、着実に回復を続けている。 最終需要の動向をみると、輸出は、海外経済が緩やかに回復するもとで、緩やかな 増加傾向にある。設備投資は大幅に増加している。個人消費は、雇用・所得環境が着 実に改善する中で、持ち直している。住宅投資は持ち直している。この間、公共投資 は高水準ながらも、減少傾向にある。 こうした中で、生産は、緩やかな増加傾向にある。また、雇用・所得情勢は着実に 改善している。この間、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は0%程度となってい る。 先行きについては 、海外経済の情勢や為替・金融資本市場の動向とその影響につ いて注視する必要がある。 金融面をみると、東海3県の金融機関(国内銀行+信金)の貸出は、資金需要が幾 分持ち直しつつあることから、前年比伸び率が+2%台となっている。また、預金は、 個人預金が堅調に増加していることを主因に、前年比伸び率が+4%台となってい る。

とのことです。

また、東海3県の地元銀行の6月の貸出約定平均金利は、積極的な貸出姿勢に変化はなく、引き続き低下していることも注目です。

 

ご関心がある方はリンク先をご確認ください。
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http://bit.ly/1UElrSL

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10月1日から特定非営利活動法人(NPO法人)が信用保証制度を利用可能となります

お知らせ【中小企業庁】新着情報…

10月1日から特定非営利活動法人(NPO法人)が信用保証制度を利用可能となります。

これまでネックであった融資の問題が一部解決され、事業型NPOでの事業展開の選択肢が増えることになります。

また、経営者保証ガイドラインもNPOが対象となる可能性があるようですので、今後の動向に注意したいと思います。
ご関心がある方はリンク先をご確認ください。
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http://bit.ly/1IucfIL

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中小企業・小規模事業者の賃金引上げに係る金融面の相談窓口が設置されます!

お知らせ【中小企業庁】新着情報…

「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)において「中小企業・小規模事業者への支援を図りつつ最低賃金の引上げに努める」とされたことを踏まえ、生産性向上等に向けた検討を行っている中小企業・小規模事業者や、賃金引上げによって資金繰りに影響を受ける中小企業・小規模事業者への支援に「万全を期して」いくとのことです。

特に、以下の”金融面に係る相談”は活用していただきたいと考えます。

全国の日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工中金及び信用保証協会に、「賃金水準上昇対策特別相談窓口」が設置されます。

賃金引上げによって資金繰りに影響を受ける中小企業・小規模事業者からの相談を受け付けことになっていますので、従業員への賃金引上げによって資金繰りにお困りの方などは、ぜひ気軽にドシドシガンガン活用しましょう。

さらに、返済猶予等の”既往債務の”条件変更、貸出手続きの迅速化及び担保徴求の弾力化などについて、賃金引上げによって資金繰りに影響を受ける中小企業・小規模事業者の実情に応じて対応することになりますので、こちらも併せて強く申し入れすることをおすすめします。

現・安倍内閣が定めた基本方針ですので、中小企業・小規模事業者も、決して遠慮することなく、また税理士等の専門家も巻き込んで、支援を申し入れていただきたいと考えます。

また、各地の相談窓口における対応に「中小企業・小規模事業者への支援を図りつつ最低賃金の引上げに努める」姿勢が感じられなかったり、納得がいかない場合は、万全を期すことに反しますので、中小企業庁金融課に相談しなければいけません。

[中小企業庁金融課]
電話:03-3501-1511(内線5271)03-3501-2876(直通)

 

ご関心がある方はリンク先をご確認ください。
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http://bit.ly/1JrCgNk

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